講師紹介

山本秀夫です。
自分自身の紹介、これが結構難しく、アナタハ何者デスカ?が答えにくい人物です。

1951年、東京生まれ。
学生の頃から今まで美術・工芸に携わってきましたけれども、美術家とか陶芸家と自分を規定したことはありません

平面から立体造形・彫刻、陶芸あるいは写真といった制作に関わりながら、美術教育・美術工芸批評・展覧会の企画構成さらには都市デザイン・インテリアデザインと幅広く活動してきたからです。
強いて言えば、美術活動家とでも言えましょうか。

もともと土のような可塑性に富んだ素材は肌に合わなかったのですが、現在は、土と出会い、土と対話し、軸足をこの横濱陶藝倶樂部に置き、世界を眺めています。

これから陶芸をはじめられる方へ

ぼくが陶芸の素晴らしさを自覚するようになったのは、そんなに昔のことではありません。記憶が定かではないので、はっきりしたことは言えませんが、横濱陶藝倶樂部を設立した頃はまだそんな自覚は持っていませんでした。それまで行なっていた様々な美術的アクションを廃棄し、自分の活動を横濱陶藝倶樂部に絞ろうとした頃からだと思います。鶴見区市場富士見町に工房を解説した頃です。

では、陶芸(作品)の素晴らしさとはどこにあるのでしょう。それは一言で言って「自由」にあると思っています。作品を生み出すまでには様々な制約がありますが、作品そのものは「自由」なのです。正解がありません。「自由」とは「なんでもあり」というわけではありません。だからもちろん失敗作品もあります。作品の価値基準は、それぞれの作り手、使い手にあります。形について言えば、カチッとした整った形が肌に合っている方もいるでしょうし、緩やかにずれた形の方がしっくりくる方もいると思います。器は重くなくてはならないという価値を持っている方もいますし、その逆に軽いことが一番と思われている方もいます。大げさに言えば、その方の世界に接する感覚に従って判断すればいいのだと思います。

一方、陶芸そのものは決して自由ではありません。一番の制約は「土」そのものです。土とは地球とそこに住む生命体と水が三位一体化した物体です。一筋縄ではいきません。それぞれの土が内胞している特性を無視して作陶はできません。陶芸作品は土と作り手とのコラボレーションです。そして作り手は土に頼りながら、土にいろいろ教えてもらいながら形にしていくのです。

体験で工房に来られた方のほとんどが土に触れる事自体に喜びを感じているようです。人間は先天的に土との親和性を感じ取る能力があるようです。みなさん、楽しい楽しいとおっしゃられてお帰りになります。そして、本格的に陶芸を始めると、難しい事だらけ。でも、そこがいいのです。まず、思うようにいかなくて失敗を繰り返します。そこから自分の正解が見えてきます。ようやくたどり着くと、また別の失敗に出会います。その繰り返し。決して安易ではありません。ぼくがよく言うのは「楽しい修行」です。何はともあれ、チャレンジする事から始まります。

私の作品