ひとりごと

そして『卓』はなくなった

まさか、このような事態が訪れるなんて、思いもしなかった。

本当なら(こういった言い方が正しいとは思わないが)明日から展示会『卓』は始まるはずだった。会員のみなさんは日頃、展示会などあまり意識せずに作りたいうつわを作っているが、展示会が始まる半年前あたりから展示会を意識する。そして各自それなりに創意と工夫を凝らし、それぞれの『卓』を生み出す。そう、すでに生み出しているのだ。ただ、展示しないだけだ。

主宰者としては、かなりきついものがある。とりわけ去年から今年にかけては、色々な意味で、横濱陶藝倶樂部は波瀾万丈だった。その締めが、展示会の中止。僕個人は、7月8月は夏休みで、体験のお客さんで賑わうと読んで、6月には作品を揃えていた。よし、これで展示会はなんとかなると夏を迎えたが、いつもと様子が違う。繁盛を通り越して、怒涛の夏だった。お昼ご飯を落ち着いてとった日はなかったんじゃないかな。いつもなら、体験のお客さんもいなければ、会員の活動日でもなかれば、卑しい僕はゆっくりとお昼ご飯を作り、ゆったりとお昼ご飯を口にするといった優雅な時間に包まれるのだが、そんな贅沢は、どこかにすっ飛んでいった。作品の削りや釉がけがあるので、夜も9時10時にアップなどザラになってしまった。

そんな日々を過ごしていると、「ちょっと待てよ。これは変だ。」という思いに駆られた。お客さん方は横濱陶藝倶樂部の工房を気持ちのシェルター(逃げ場)として捉えているのではないか。ならばこちらは十分シェルターとしての役目を果たさなくてはいけないだろう。という思いで、この夏を乗り切った。

と同時に『卓』を開催して何か起きたら、という不安がよぎった。日頃の活動は、お客さんの対応を含めてホームグラウンドでの行為なので、消毒、換気、マスク着用、無駄なお喋りをしないといったところで、十分ではないにしろ予防できるような気がした。というかそれ以上の対策は、工房を閉めることしかない。でもそれはしたくなかった。どこにいてもウィルスの脅威に晒されているのだから、可能な限りの対策をすることによって対応しようと決めた。あとは個人の判断である。

しかし、展示会は違う。不特定多数の方が出入りをするし、作品には手を触れないでくださいというのも趣旨に反するし。いろいろな言葉が脳裏を巡回し、気持ちを揺さぶった。幸い会員の方は良識のある方々ばかりで、中止という僕の意向に賛同してくれた。

でも疲れた。少々、心を休ませたいというのが本心である。

 

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